当事務所では例年10月に、名古屋簡易・地方・高等裁判所の開廷表を調査して労働関係訴訟の事件数の推移を調べています。
今年は10月19〜30日を調査期間としました。
これは10月19〜23日に調査した、名古屋地裁民事第1部(労働事件の集中部)および名古屋簡裁・名古屋高裁における労働関係事件の事件数です。
調査は次によって行いました。
地裁は民事1部の開廷表に記載の事件は一応、労働事件と推定し、そのなかから国・地方公共団体を被告とするものを除きました。したがって、公務員が原告となるもの・労災補償に関するものはカウントしていません。単に「損害賠償請求事件」とされているものは労働事件でない可能性があるため、当事者の一方が個人、他方が法人のもののみカウントしました。
簡裁は開廷表記載の事件名から、「賃金」「解雇予告手当」など、明らかに労働事件とわかるものをカウントしました。
したがって、地裁であれば損害賠償請求事件としてカウントできた性質の事件(パワーハラスメントその他の不法行為・安全配慮義務違反に基づく請求)をカウントできていません。
事件名として未払賃金等とある場合、未払いの賃金請求以外に何らかの請求(解雇予告手当・損害賠償など)を含んでいるはずですが調査していません。
事件名の傾向と事件数は、つぎのとおりです。
簡裁
賃金 5件
うち、少額訴訟判決に対する異議事件 3件
通常訴訟 2件
地裁
賃金 1件
割増賃金 1件
損害賠償 1件
地位確認 2件
簡裁からの控訴事件 なし
高裁
地位確認 1件
賃金 1件
いずれも控訴人は個人、被控訴人は法人
特記事項
今回の調査で少額訴訟判決に対する異議事件が3件観測されましたが、これまでの調査で観測された実績はありません。
また、事件番号から推測する限り、名古屋簡裁で少額訴訟判決に対する異議事件は年間10件程度にとどまります。
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