【初学者・新任の補助者向】
【推奨度:☆】
法律の調べ方というタイトルではありません。『法情報』の調べ方、だそうです。これはどういうことでしょう?
編著者が図書館員であることに関係があります。これは、法律や判例を『図書館やインターネットで調べられる情報の群れ』と認識したうえでその調べ方を紹介した本なのです。本書においては、図書館が法情報調査=リーガル・リサーチの出発点になっています。
つまり図書購入に潤沢な予算を割けない零細事務所向けの本になり得るのかもれませんが、本書はあくまで『検索マニュアルではなく、広い意味における法律学習の入門書となるよう工夫』(はしがき)されたもので、対象は生まれて初めて法律に関する情報を調べる必要が生じたような一般の方向けです。説明は概して丁寧ですが、やさしくはありません。
法令・通達や告示・法律の作られ方=立法過程・行政機関が発する情報・準司法作用としての審決や裁決の説明に各一章、判例に関する説明には、計三章が割り当てられています。弁護士・司法書士など士業の事務所の調べ方は一応載っていますが、これは特定の依頼や事件を前提としていないので、物足りない印象を受けるでしょう。内容証明を送りつけてきた相手方代理人の実在性を調べる方法を知りたい程度なら、本書の説明で十分です。
リーガル・リサーチについては『リーガル・リサーチ』という書籍をすでに紹介していますが、本書のほうが内容が平易で、より初心者向けです。
給料未払いや離婚や交通事故、といった法律上の問題に巻き込まれて、スマホでちょっとした検索を繰り返すだけではどうにもならなくなったような方が落ちついて法情報の収集を始めようとする際におすすめの一冊です。
書誌情報
タイトル 法情報の調べ方入門 : 法の森のみちしるべ
編者 ロー・ライブラリアン研究会 編.
出版者 日本図書館協会, 2015.5.
ISBN978-4-8204-1501-5 :
タグ:本人訴訟